☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3


そして。


「麻衣ちゃんに電話するよ!良いね!?」


母さんの剣幕を見て、再び……


「そんなことをしたら、迎えが来るじゃない~っっ」


泣き、暴れ(?)始めた。


「良い年した娘が泣かないの!」


「だってぇ~、お母様、怖いんだもん!」


「怒られることをする、あんたが悪い!ほんと、変なところで勇兄ちゃんに似ちゃってさ……」


「説教は、もういや~!」


おまけに、再び、逃げ惑う。


協力して、葉月をかくまうこともできるのだが……葉月がやっていることが間違っていると思うので、何も言えなくて。


その時。


「―沙耶さん!葉月を解放してあげてください!」


聞き覚えのある、凛とした懐かしい声がした。


「奏(かな)!」


メシアが現れたと、葉月は感激して。


「ちょっと、散歩に行ってきまーす!」


と、常人ならば、飛び越えるのに一苦労な裏門の塀を、軽々と飛び越えてしまう。


「おま……っ」


勿論、この裏門はオートロック付きで。


ブザーが響きそうだったので、俺はすぐさま、電源を落とした。


「冬哉くーん、後で開けてね!」


……この従姉は、間違いなく、勇真伯父さんの娘であり、母さんの姪だ。


(滅茶苦茶なところが、よく似てる……)


俺は乱れた前髪を掻き上げて、ため息をついた。



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