俺だけのLovelyメイド
この、声……



「蘭、行くぞ」



──東條、だ……
来て、くれたんだ。


沈黙のまま少し歩いて、急に東條がピタリと立ち止まった。
それに続いて、あたしも足を止める。




「なんで、触られてんの?」



「え……?」



「──……気安く触られてんなよ。
お前バカじゃねぇの?」




……は?

ちょっと待ってよ。
普通、そこまで言う?




「……別に、あたしが誰に触られようと東條には関係ないでしょ!?」




そこまで言って、はっと口を閉じた。

……ああ、あたしってほんと可愛くない。


ほんとは──……
来てくれてありがとうって、そう言いたかったのに。

何度も何度も、頭の中で繰り返し言った“ありがとう”



なのにいざ口を開けば、こんな言葉しか出て来ないなんて。
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