俺だけのLovelyメイド
「じゃあ……適当にお願いします」



美椰さんは「わかりました」と言って、あたしの髪に櫛を通す。

あたし今、きっと酷い顔してるんだろうな。




「蘭さん、泰臣様のこと、怒ってますか?」



「──……え?」



「付き合ってたんでしょう?」



美椰さんと、鏡越しに目が合う。
あたしは俯き、小さく首を縦に振った。




「……このドレス、泰臣様が選んだんですよ」



「え……?」



「絶対蘭さんに似合うからって。
でも、自分からとは言わないで、私からってことで渡しておいて欲しいって」



「あたしが言ったことは内緒ですよ」と、子供っぽい笑顔を浮かべて、笑ってみせる美椰さん。
< 305 / 320 >

この作品をシェア

pagetop