あなたの心を❤️で満たして
その笑顔がまるでロボットが無理して笑っているように見えてしまい、思わず空々しい…と頭の中で考えていた。



「おやすみ」


再度同じ言葉を繰り返して、するりと髪を撫でていく。
大きな掌が離れていくのを感じて、ぎゅっと胸が押し潰されそうになった。



「黒沢さん…!」


側を擦り抜けようとする彼を呼び止めると、見返った人が小さく息を吐き、諦めたかのように「何?」と聞いた。

私はどうして彼を呼び止め止めたのか一瞬分からなくなり、思いつくままにこう言っていた。



「…あの、明日の朝もお味噌汁でいいですか?」


亡くなった祖母の手付きだけを見て覚えた味だ。そして、彼はそれを食べてくれるーー。


私の言葉を聞いて、黒沢さんは少しだけキョトンとした。それからきちんと向き直って「いいよ」とハッキリ答えた。


「俺、留衣の作る味噌汁は好きだから。毎朝でも美味いよ」


ストレートにそう言うと、それじゃ…と背中を向け直す。
自分の部屋へと歩き出す彼を見たまま、私はただ呆然と立ち尽くしていて……


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