あなたの心を❤️で満たして
妙な気分で「はい」と返事はしたのはいいが、二人で席を回るってことはつまり……


「お草履では歩き難いと思いますので、お婿様の腕にお捕まりになっては」


やはりそういう意味か。
私はこれまで男性の腕に捕まったこともないのに。


(捕まるってどうやるの?袖を握れば歩ける?)


隣にやって来た背の高い男性の腕を見つめながら少し躊躇う。握っても怒られないかな…と妙な心配が先立った。


おずっ…と指先を袖に伸ばしたら腕が動いて、私の手が彼の腕の中に滑り込んでいく。


(え?)


ぽけっと彼のことを少し見上げると、横目で私のことを見下ろしていた。


「肘の内側を捕まえて。しっかり持っていた方が歩き易いから」


そう言ってさり気なく私の方に寄ってくれた。
入籍の時とは違う心遣いにジン…ときてしまう。


「あ…ありがとうございます…」


スッと指先を袖に絡ませると、彼が歩くよと言って先に足を動かす。

私は少しリードされる様な格好になり、遅れてはいけないと思いながら腕が離れていかないよう、ぎゅっと肘の辺りを握る指先に力を込めた。


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