あなたの心を❤️で満たして
『どなたか信頼できる方の名義を借りて、一時的にその方の元へ登記簿がいくように仕向けます。
厚志様がご信頼できる方がいいと思うのですが、どなたか適任者はいらっしゃいますか?』


そう言われて、思いついたのは和田教授しかいなかった。

彼になら…と言うと、ではそう致しましょう…と決まり、初七日が過ぎたら直ぐに入籍を済ませ、簡単なお披露目式も執り行いましょう…ということになった。


『全ては花菱留衣様の父親を欺く為にです。彼にとっては酷い状況に陥るかもしれませんが、それ以外に財産を護れる方法が見当たりません』


三上弁護士はそう話し、これを機に先物を止めるといいのだが…と呟いた。


『父親が自殺なんて馬鹿な真似をしないでしょうね』


少し気になって訊ねたが……


『大丈夫ですよ。そこまでの勇気がある人じゃないようですから』


調べはそこまで付いているらしく、大したもんだ…と感心した。



『それよりもだな』


父は俺達のやり取りを黙って聞いていたが、話が済むと急に口を挟んだ。


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