あなたの心を❤️で満たして
そう言われるとそうなのだけど、こっちはまだ「黒沢留衣」になって二日目で、慣れてもないし馴染んでもない。


「そう…ですね」


答えようがなくてそう返した。
それを言うなら私は、「君」って名前じゃないですよ、旦那様。


「…………」


微妙な空気が漂い、これ以上居てもやりきれなくなるだけだと判断し、私は彼に背中を向けてドアを開けた。

新婚ですよね?と益々問いかけたくなってくる。
彼の気持ちが何処にあり、何を思っているのかも聞けなかった。


(やっぱり夫婦と言っても形だけの様な感じ)


黒沢さんはそれでいいと思っているのかな。
婚姻届さえ出せば、それで同じ家に住んでさえいれば、世間的には夫婦に見える訳だしね。


(あの人、私と結婚しなくてももっと別にいい人がいるんじゃないのかな。
本当は他に好きな人がいて、その人を今でも想い続けているんじゃないの?)


研究室に行くと言ったのも本当は嘘で、相手から会いたいと連絡がきたんじゃないの。
今日も寝ると言いつつ、実際は部屋に居なかったりしてーー。


(……止めよ。疑いだしたらキリがない)


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