あなたの心を❤️で満たして
勤め先の研究所で新薬の開発をしている黒沢さんがいないと話が前に進まないと言われたのだそうだ。
「私は悔しゅうございます!折角奥様が作った朝食を召し上がらずに出掛けて!」
ぎゅっとエプロンを掴み、もみくちゃにしている。
新婚だと知りながら電話を掛けてくる方も無遠慮だと詰り、どいつもこいつも人の気持ちが分からない者ばかりだと罵った。
「あの研究バカの代わりに私が朝食を食べますから、ご一緒に頂きましょう」
ぽん…と背中を押すように叩かれ、ハッと我に返る。
「冷めないうちに食べますよ」
怒りを抑え、廣瀬さんは私の肩を抱くようにしながらキッチンへと戻り始める。
言うなりになって足を二、三歩進めた時、ようやく事の次第が分かり始めた。
(……そうか…食べて貰えないんだ……)
今更ながらに納得。
ウキウキしながら作った物は、彼の口には入らないのだ。
(そうか…また置き去りか……)
何となくそう思えてしまった。
黒沢さんに悪気はないと思うのだけれど、張り切って作ったのに残念だな。
「私は悔しゅうございます!折角奥様が作った朝食を召し上がらずに出掛けて!」
ぎゅっとエプロンを掴み、もみくちゃにしている。
新婚だと知りながら電話を掛けてくる方も無遠慮だと詰り、どいつもこいつも人の気持ちが分からない者ばかりだと罵った。
「あの研究バカの代わりに私が朝食を食べますから、ご一緒に頂きましょう」
ぽん…と背中を押すように叩かれ、ハッと我に返る。
「冷めないうちに食べますよ」
怒りを抑え、廣瀬さんは私の肩を抱くようにしながらキッチンへと戻り始める。
言うなりになって足を二、三歩進めた時、ようやく事の次第が分かり始めた。
(……そうか…食べて貰えないんだ……)
今更ながらに納得。
ウキウキしながら作った物は、彼の口には入らないのだ。
(そうか…また置き去りか……)
何となくそう思えてしまった。
黒沢さんに悪気はないと思うのだけれど、張り切って作ったのに残念だな。