第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


 話を聞くと、お茶会といっても、第一王子、イルヴィスの妃探しのためのものらしい。

 イルヴィス・グランリアは、その優秀さと美しい容姿が有名で、多くの令嬢たちから羨望の眼差しを向けられている。ただ、合理的で少しばかり冷淡なところがあり、令嬢たちの中で玉砕した者も数知れず。


 歳は20ほどのはずだが、今まで婚約者はいなかった。なのに何故か突然、妃探しのお茶会開催を決めたらしい。



「まあ、数合わせのようなものだろうが……招待されたからには行ってきなさい」


「……」



 父は、アリシアが第一王子の妃になる可能性は皆無だと思っているようだった。

 娘にもう少し期待しても良いのでは、と思わなくもないが、アリシア自身、そう自分に魅力があるとも思えないので言い返せない。


 正直あまり行きたくはなかったが、母から「美味しいお菓子が食べられるかもしれませんよ」と言われ、渋々お茶会への参加を了承したのだった。


 ──まさかそれが自分の運命を大きく変えるなんて知らずに。


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