第一王子に、転生令嬢のハーブティーを


(私やミハイルさんみたいに、ハーブに慣れ親しんでいる人にとっては『美味しいもの』っていうイメージも強いんだけど)



 アリシアは少し考える。イルヴィスに出す紅茶の代わりに、ペパーミントのハーブティーを出してはどうかと提案するつもりで来たのだが、普段ハーブティーを飲まない人には飲みにくいかもしれない。

 楽しいティータイムに薬を出されたとなっては不愉快だろう。



「あっ、じゃあブレンドティーはどうかしら」



 ハーブだけをお湯で抽出するのではなく、いつも飲んでいるというダージリンティーとドライミントをブレンドするのだ。

 それなら、味はいつものものと近く飲みやすいし、ミントの爽やかさがプラスされる。きっとミントの効能も十分とは言えずとも、感じることはできるのではないか。



「ブレンド……どのような味がするのでございましょう?」



 興味を持ってもらえたらしい。アリシアはにっこり微笑んだ。



「口で説明するより飲んでもらえると分かりやすいのですが……茶道具をお借りしても?」


「構いません」



 副メイド長は答えてから、ポットとカップ、ティースプーンや砂時計といった、紅茶を淹れるのに必要な道具一式を用意した。



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