蘇りのウタ
「出口に近づいてから通じたって意味ないじゃん」


香菜美がふくれっ面になってそう言った。


カケルはそんな香菜美を見て肩をすくめる。


電波の有無までカケルに文句を言ったって仕方がない。


それから俺たちは交互に音楽を流しながら歩く事にした。


最初は森の中で流れている音楽が異質なものに感じられたけれど、みんなの知っている曲を流しているとだんだんと気分が落ち着いてくる。


知っているものが身近にあるという安心感があるのかもしれない。


そうしている間に、もうすこし歩くと同じような小屋があると、カケルが言った。


「休憩するか?」


カケルが振り向いてそう聞いて来た。


「あたし、喉が渇いた」


そう答えたのは菜摘だった。
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