蘇りのウタ
「もしかして、記憶を操作された?」


あたしのスマホの画面を横から覗き込んで、菜摘がそう聞いて来た。


「そうなのかもしれない……」


今日あたしたちが家に帰らない理由は、お泊り会ということになっている。


乃愛が死んだと言う内容のメールは一件も届いていない。


もし乃愛が死んだのなら、すぐに連絡網で流れているはずだ。


「みんな、ありがとう」


幸弘の手を借りて立ち上がった乃愛が、あたしたちに頭をさげてそう言った。


事故にあって傷だらけになっていたはずの乃愛の体は、とても綺麗になっている。


蘇った時にすべて修復されたのかもしれない。


経帷子を着ていたのに、それも普通の洋服になっている。


すべてのつじつまが合うように変更されたようだ。


あたしは寒気を感じて強く身震いをした。


吐き気がする。


立ち上がり、よろめきながらトイレへと走った。
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