蘇りのウタ
「ちょっと待って。広間では一応電波があったよね」


香菜美がそう言い、スマホを取りだした。


そうだ誰かに連絡を入れればいいんだ。


そう思い、俺も自分のスマホを取り出す。


けれど圏外だ。


「どうだ?」


前の席に座っている女子たちにそう聞くと、全員が落胆したような表情で左右に首を振った。


「あの広間まで戻るか……」


和希がそう呟いた。


俺は車を下りて電波を探してグルグルと歩いてみた。


しかし、やはり電波は通じない。


あの広間のごく一角だけ偶然電波があったのだろう。


広間へ戻るにしてもすぐには無理だ。


みんな疲れていて車の座席に座った瞬間、動けなくなっている。


「広間へ戻るにしても、少し休憩してからにしよう」


俺はみんなにそう提案したのだった。
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