身代わりの姫
ジルが夜中に帰ってくるようになったのは、城で忙しくしているのだろう。
そう思わざるを得ない、書簡が届いたことを知ったのは、夜中に帰ってきたジルからの話だった。
「おかえりなさい………お疲れ様です」
さすがに疲れが見える。
「サリ……座って」
テーブルを挟んで向かいあった。
「何か?」
「……シュリベルト国から王と俺宛に信書が届いた。
持って来たのは、シリルという奴だ、知っているか?」
一瞬、声が出なかった。
「………兄の護衛隊員だと思いますが」
「内容は………バルテモン国に有事があった場合、リリアを預かる、と。
お前宛にもきている、これだ」