身代わりの姫


ちょうど来てくれたリラ、カルール、エド、ジョーと一緒に旅芸人の一座のところへ行くと、


「さ、ちょうど出発だよ、みなさん、今回のショーは大成功だったよ、ありがとう。

また来るからね」


見送りに来ていた人たちに座長のルアナが声をかけて馬車の御者の隣に座った。


「サリ、こっちの馬車に乗って」


ルアナとは違う幌馬車を指さされた。


「サリ、元気で」「また会おう」

そんな声に、手を振った。


泣かない、そう思っていたのに、リラの涙につられて目が潤んだ。


ガタゴトと動き始めた馬車のうしろのまだ閉めていない幌のところから、最後まで手を振って、町の出口の辺で幌を閉めて振り返ると、驚いた。


コゼットがいた。




< 261 / 279 >

この作品をシェア

pagetop