公園で王子様を拾いました!
智哉はずっと私の側を離れようとしない。


うざいから、離れろ!


何度も怒鳴ってるのに、麻都佳は何を怒ってるのかと、呑気に聞いてくるし。


そのおまえのいい加減な態度にムカついてるんだ。


守りたい大切な女がいるのに、私を好きだなんて言うし、そう言うのはいいから、いい加減な気持ちの智哉とは付き合えない。


「私は智哉とは無理だから。大切な女の所へ行けば。」


智哉が私の顔をまじめじと見つめた。


「俺の大切な女はここにいるけど。」


全く話が噛み合わない。


「違うの。私とはその成り行きでつき会うと言っただけで、智哉には本命の女がいるんでしょ。」


「はぁ。麻都佳はバカなのか。」


バカじゃないし。


「だからね。私が言いたいことは。」


その時、誰かが部屋をノックする音がした。


両親はノックせずに入ってくるし、友達なら連絡をくれるはず。


じゃ、誰?


もしかして、智哉がここにいることがばれた?


「出なくてもいいから。」


「社長がここにいることは砂川秘書から聞きました。私の話を聞いて下さい。」


この女の人は誰?


私がドアを開けようとするのを智哉が止めた。


何か不味いことにでもなるのか。


「君と話す事はないから、帰れ!」


智哉が怒鳴った。


何をそんなに怒ってるのだろうか。


「私は社長が好きです。社長の為なら何でもしますから、お願いします。顔を見て安心したいんです。」


ふ~ん。


智哉が好きだと言ってますけど。


めんどくさい事に巻き込まれたくないから、隙を見てドアを開けた。


そこにいたのは泣き腫らした目をした、美しい女性が立っていて、ドアを開けたと同時に智哉の胸に飛び込む。


中々やるじゃない。


私が部屋を出ようとするのを智哉が止める。


「麻都佳はここにいろ。」


いたくないと暴れても羽交い締めにされた。


ソファに無理矢理座らされ、腕は智哉が逃げられないようにガッチリと掴んでる。


私はいない方が良いと思います。


「社長は私が命に変えても守りますから。このような得体の知れない女の所にいるのは良くないです」


はぁ、私は好きで智哉とはいるわけではありませんから、どうぞ好きにしてください。


そう言おうとした口を智哉に塞がれた。


多分、キスされてます。


ファーストキスが無惨に奪われました。


悔しいけど、驚き過ぎて涙も出ません。





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