孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「帰りたくないのか、実家には」

「そういうわけではないんですけれど……」

「それなら」


 叔父からはどこまで話を聞いているのかわからず、あいまいに濁してみせる。

 実家に帰れば、両親は私の帰省を笑顔で迎えてくれる。

 地元に残っている妹も私を邪険にするどころか、実家の家業がどうだとか、他の人には話せないいろんなことを私にならたくさん話したいと思ってくれているに違いない。

 ……そういう部分に、私が引け目を感じているとは、誰も気づいていないと思うけど。


「九州、行くぞ」

「えっ!?」


 最後に帰省したときのことを思い出し心を重くしていると、社長は突然思いついたようにそれを口にした。


「海の幸が豊富なところらしいな、君の故郷は。非常に興味がある」

「え、まさか……」
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