孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
『ルイ』

『ユウセイ……!』


 力まかせに振り向かされたルイさんの陰から現れたのは、私の胸を大いに弾き飛ばさせる人。

 ついさっきまで、同じベッドで体温を分け合っていた彼に、顔の熱が急騰した。


『佐織には、余計なことするなと言っただろう』


 ぎろりとルイさんを睨みつけた切れ長の瞳。

 私のためだとわかるその牽制が、たまらなく胸を熱くさせる。

 きゅうきゅうと息苦しい音を立てる心臓を手のひらでかばうと、社長は私の腕を掴んで引き寄せた。


『佐織は他の女とは違う』

『うん、見ていればわかるよ』


 普段は仲良しなふたりだけど、険悪な雰囲気が漂うとやっぱり心配になる。


『社長、あのっ、ルイさんは社長のことをご心配なさっていて……』


 ルイさんへの牽制をやめてもらいたくてそばの長身を見上げると、やさしく掴まれていた手にわずかに力が込められた。
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