占いガール
千尋ちゃん達は繁華街に向かうって行ってたよな。
ポケットに片手を突っ込んで、電車のつり革に掴まる。
席に座ってる可愛い女の子がチラチラと俺を見上げてくるけど、今日は構ってる暇なんて無いんだよね。
目的がある俺は遊びに興じてる場合じゃないから。
早く千尋ちゃん達を見つけないといけないし。
て言うか、俺はどうしてこんなにも必死になってるんだろう。
妹とそのカテキョを追いかけてるだけなのに。
広い繁華街で見つかるんだろうか?
不安をなってくる。
見つからなかったら・・・と思うとモヤモヤした。
まぁ、あの二人なら人の視線をかなり集めるだろうから、直ぐに見つかるような気がしないでも無いけど。
身内の欲目じゃなくても涼香は可愛い。
あの変な変装を解いてる千尋ちゃんはかなりの美少女だしな。
二階の部屋から、千尋ちゃんを見た時、心臓が止まるかと思った。
前みたいにチラッとじゃなく、まじまじ見た彼女は、本物の美少女だった。
あんなに可愛いのに普段のは隠してるとか反則だろ。
俺の心臓を鷲し掴みにし過ぎた。
彼女の笑顔を思い出して、吊革に掴まってない方の手で胸元を掴んだ。
視線を感じて顔を動かすと、顔を赤らめて前の席の女の子が俺を見つめてた。
面倒臭いな、あからさまに俺を意識してる視線がこんなにもウザいものだったなんてな。
無表情のまま女の子から視線を逸らして、車窓に顔を向けた。
流れる景色、太陽が眩しいぐらいに輝いていて。
俺はワクワクした気持ちを取り戻す。
繁華街の様な賑やかな場所で、誰よりも光輝いて見えるだろう彼女に会える。
そう思うと浮かれる俺がいた。
あ~もう、認めるしかないな。
女なんて、男を誘うだけの穢らわしい存在で遊ぶ以外に意味はないって思ってたのに。
純粋な千尋ちゃんは、そんな穢いモノじゃないと感じるんだよな。
降参だ。
どんな綺麗な子にも本気になったりしなかったけど、千尋ちゃんには本気になりそうだ。
彼女は、俺が母親から受けた呪縛を解いてくれる存在なんだろうな。
もう、女遊びなんてしてる場合じゃない。
本腰入れて、身辺整理でもするかな。
これ以上、彼女には嫌われたくないし。
マイナスからのスタートなのは分かってるけど、認めてしまったら後には引けないんだよな。