世界できっと、キミだけが
――おい、紗千!どういうことだ!
「…お父さん…」
部屋に案内され、居心地悪く椅子に座ってこれからどうしようかとぼんやりしていたら、お父さんから電話がかかってきた。
出るやいなや焦ったようなお父さんの声。
――宇都木の秘書から変な電話がかかってきて…。なんか借金もなくなってるし、お前、どこにいるの
「お父さん、宇都木社長知ってるの?」
――うーん。知ってるというか、ただの高校の同級生ってだけで。卒業した後一度会っただけでそれっきり…
そうだったんだ。
だから余計に調べやすかったのかな。
でも、同級生の事を話すような感じじゃなかった。
別に何とも思ってないような。
それこそ、ただの駒のような。
――それより、身代わりって、なんでそんなの許可したんだ
「だって…。断れる感じじゃなかったし…。それに、借金失くしてくれるって言うから」
――バカ。そんな事、紗千が気にしなくていいんだ。お前になにかあったら…
「大丈夫だよ。身の安全は保障してくれるって言うし。大げさに言ってるだけで、念のためって感じじゃないのかな」