世界できっと、キミだけが
私はグッと拳を握る。
「…わかりました。でも、私の最低限の生活は護ってください。ちゃんと、高校には通いたいし、お父さんにだって会いたい」
「善処しよう」
宇都木社長は満足そうに片方の唇をあげる。
悔しいけど、これでお父さんが救われるなら。
ちゃんと身の安全は保障してくれるって言うし。
「伊永。後は頼んだ」
「はい。畏まりました」
話が終われば、すぐにそう言って立ち上がりそれ以上私に一目もくれず部屋を出ていく。
なんか、ものすごく嫌な感じ。
うまく丸め込まれたのがすごくわかって感じ悪い。
「今日より、こちらの一室を紗千さまにご用意しております。そちらで生活をしていただくことになります」
「さまとかつけなくていいです」
「…では、紗千さんと。ご案内します」
私は全く偉くなんてないのに。
私は伊永さんの言うとおりついていく。
これからどうなるんだろう。