世界できっと、キミだけが
最初は、本当に不満しかなかったこの仕事。
借金のカタに売られたようなもの。
だけど、その娘に同情もする気にもならなかった。
それでも、その事情を知って。
小野田紗千という人間を知って。
きっと、俺の中の印象が変わっていった。
「…あ」
テラスに出るとそこに人影を見つける。
暗いその場所で目を凝らすと、そこにいたのは。
「ああ、君、宇都木の者かな?」
「…はい。その、幸子お嬢様は」
その男の腕の中で身体を委ねている小野田紗千。
少し警戒しながら男を見た。
ただ眠っているだけのようにも見える。
「ああ、ごめんね。こんなにお酒が弱いと思わなくて」
「え?」
「会場内で体調がすぐれないようだったからここに連れ出したんだけど、少し落ち着いたようだから一緒に飲もうと思って」
幸子お嬢様は確かに二十歳になられた。
だが、小野田紗千はまだ高校生で、確か17歳だったはずだ。