世界できっと、キミだけが
きっと、好きになれば大切にしてもらえるんだろう。
こんな風に同じレベルで笑ったり楽しんだりできるんだろうな。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。本当に楽しかったよ」
「私もです。浩一さんがあんなにゲームセンターで遊んでくれるとは思いませんでした」
「そう?僕はやるならとことんっていう信念だからね」
胸を張ってそう言う浩一さんに、思わず笑ってしまう。
楽しい時間は、本当にあっという間だ。
車を置いてある駐車場まで歩く。
本当に、楽しかった。
それは嘘じゃない。
でも、心の隅に浮かぶのは、竜の事。
竜と、こんな風にデートをしたかった。
一緒にはしゃいだり、笑ったり。
一度もしたことがない。
「…紗千さん!」
「え…?」
突然、腕をひかれたかと思ったら、目の前に木の棒が振り下ろされる瞬間。
浩一さんが私を庇い覆いかぶさると、その木の棒は浩一さんの肩に直撃した。