世界できっと、キミだけが


それから、本当にその一連の流れをこなし学校についたのは屋敷を出て1時間後の事だった。
毎朝こんな苦労をして通わなくちゃいけないの?
信じらんない…。


高級車から普通の軽自動車に切り替え、鹿島ってボディーガードもスーツから私服へ着がえる。
私も、鹿島さんから返してもらった制服に着替えた。
そこまでの徹底っぷりに少し圧倒される。



「あなたまで着がえる必要ってあるの?」

「俺の顔を覚えられていないとも限らない。それに、不自然はない方がいいに決まっているだろ」

「…ああそう」



学校の側に車を止める。
ここからは、小野寺紗千でいられるんだ。
ホッと息を吐く。



「これからの行動は、しっかり気をつけろよ。宇都木社長に迷惑をかけないように」

「なっ…」

「わかっているだろうが、身代わりの件は決して口外するな。お前自身のためにもな」

「……しないわよ!」



そんなことして、友だちまで巻き込むわけにはいかないもの。
そのくらい、私だって弁えてる。




< 25 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop