世界できっと、キミだけが
それから、本当にその一連の流れをこなし学校についたのは屋敷を出て1時間後の事だった。
毎朝こんな苦労をして通わなくちゃいけないの?
信じらんない…。
高級車から普通の軽自動車に切り替え、鹿島ってボディーガードもスーツから私服へ着がえる。
私も、鹿島さんから返してもらった制服に着替えた。
そこまでの徹底っぷりに少し圧倒される。
「あなたまで着がえる必要ってあるの?」
「俺の顔を覚えられていないとも限らない。それに、不自然はない方がいいに決まっているだろ」
「…ああそう」
学校の側に車を止める。
ここからは、小野寺紗千でいられるんだ。
ホッと息を吐く。
「これからの行動は、しっかり気をつけろよ。宇都木社長に迷惑をかけないように」
「なっ…」
「わかっているだろうが、身代わりの件は決して口外するな。お前自身のためにもな」
「……しないわよ!」
そんなことして、友だちまで巻き込むわけにはいかないもの。
そのくらい、私だって弁えてる。