世界できっと、キミだけが
「それから帰りは、16時にここで待っている。絶対に遅れるな。それと、それまでは絶対校外に出るな」
「絶対って…、そんな」
「守らなければ、ここに通うことは許可できない」
厳しい表情のままそう言う。
こいつなら、本当にやりかねない。
この自由まで奪われてなるもんか。
「…わかったわよ!いってきます!」
バン!と小さな抵抗で思い切りドアを閉めてやる。
ズカズカと音を立てながら校門まで急いだ。
「紗千?」
「…菜穂。浩太も。おはよう」
校門に入る直前、呼び止められ私は苛立ちを含んだ表情のまま顔を向ける。
そこにいた菜穂と浩太の二人の姿に、怒りのゲージはようやく収まりホッと息をついた。
「あれ、誰だ?送ってもらってたのか?」
「紗千、お兄さんいたっけ?」
見られていたのか、二人は不思議そうに私が来た方向を見る。
ちらっと振り向くと、私が校門に入るのを確認してから移動するつもりなのか、鹿島さんの車はまだそこにあった。