世界できっと、キミだけが
「それに、怪我が治ったら半年くらい海外に行くことになったんだ」
「…え」
「これから会社を継ぐためにもいい勉強になるって父が勧めてくれて。僕も挑戦してみたいことがたくさんある。きっと、紗千さんに構っていられる余裕もなくなるよ」
浩一さんの目は輝いていて、嘘を言っているようには思えなかった。
私のためだけではなく、浩一さん自身のためにもなる?
「紗千さんの事、婚約者にできたらって想いは、やっぱりまだあるけれど。僕にとって今はやっぱり自分が行くべき道の方が大切だと思えるんだ」
「浩一さんが行くべき道…」
「そう。可能性を広げたい。父から会社を譲り受ける時に、もっと広く新しいことが始められるように、土台が欲しい。恋愛にかまけている暇は、ないみたいだ」
浩一さんが語る未来はとても輝いていて。
いつまでもウジウジとしたばかり見ている私とはまるで違う。
「今日見舞いに来てくれた父にその話を聞いて、そう思ったんだよ」