世界できっと、キミだけが
「親戚のおじさんってことにしたから」
「……おじ・・・。別に、どうでもいいが」
帰り、時間ピッタリに本当に待っていた鹿島さんの車に乗り込むと、嫌がらせも込めてそう報告した。
鹿島さんはムッと眉を寄せ表情を変えたけど、すぐに誤魔化すように目を反らしハンドルを握った。
「これから先、友だちに会うことだってあると思うし。ボディガードだなんて紹介できないでしょ。変な噂立つのも嫌だし」
「誰も、勘違いしないだろ。お前みたいなガキと」
「わからないでしょ、最近はロリコンって言葉もあるし」
「お前、言っとくけど俺はまだ29だし、ロリコンじゃねぇ」
なんだ、こんな風に感情的に怒ることもあるんだ。
やったね。
ちょっと嬉しくなって鼻で笑う。
「おい、なに笑ってんだ」
「別に」
「ったく。お前、自分の状況わかってねぇだろ」
「なにが」
「…そのうちわかる」
しまった、というような表情を浮かべ、はぐらかされてしまう。
なにそれ。
自分が身代わりになったってことくらいは、ちゃんと理解してるけど。