世界できっと、キミだけが


菜穂の決め手と私のとじゃ重みというか、正当性というか違う気がする。
私はただ好きな人の側にいたいっていう、なんとなく不純な動機じゃないか。



「私は、好きな人のために将来の夢を決められるのってすごいと思うけどな」

「両想いじゃなくて、実るかもわからない恋なんだよ」

「それでも、もしそれが紗千の天職になったらすごくない?」

「…それは、すごいと思うけど」




自分にできるんだろうか。
私も看護師さんにはお世話になった。
優しくて、とてもいい人たちばかりだった。

でも。
確かに、竜がケガをした時、私に知識があればすぐに適切な処置ができたのにって思ったことはあったし、もどかしい気持ちにもなった。




「紗千は考えすぎ、真面目すぎなんだよ。はっきりした堂々といえる志望動機がないと不安なんでしょ?」

「う…」

「そんなの、いらないって。もっと気楽に考えてもいいんだよ」




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