世界できっと、キミだけが


講義が始まると、私は鹿島さんと隅の席で幸子お嬢様が見えるところに座る。
講義は私にはわけのわからない難しい話ばかりだった。

講義のあと、幸子お嬢様は代表挨拶で壇上に立つ。
壇上の両脇には久住さんと吉沢さんが控えていた。



なんだかすごい世界だ。
つくづくそう思う。


私には一生縁のない世界だったはず。



幸子お嬢様は、堂々とした態度ではっきりとした口調で話す。
あんな人の身代わりなんてできない。
そう思った。


最初、鹿島さんが言っていたけど、本当に顔だけそっくりさんに過ぎない。



私と幸子お嬢様は似ても似つかない。




チラリと鹿島さんを見る。
鹿島さんはまっすぐ幸子お嬢様を見ている。


チクリ。
なんだか胸が痛い。



そんな感情の中盛大な拍手で挨拶は終わった。




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