上司な彼とルームシェア
大家さん、何考えてんですか!!
あれから、39度台まで熱があった俊哉に朝ごはんを食べさせ、今は解熱剤が効いたのか自室のベッドで静かに眠るその姿を見つめ、由紀恵ははぁと一息吐いた。

リビングに戻ると、かなえさんが帰宅したところだった。

「おかえりなさい」
「ただいまぁ。あら、トシさんは?」

「あ、風邪でダウンしちゃってて。さっき寝たとこです」
「あー、本当世話のかかるオジサンだねぇ。折角の休みなのに、由紀恵ちゃんもお疲れ」

「どうせ、グダグダ過ごすつもりだったんで。かなえさん、まだ暫くいらっしゃいますよね?」
「うん。16時位には出るけど」

「じゃぁ、ちょっと買い物に出てきていいですか?」
「大丈夫だよ。行っといで」

「じゃ、1時間位で戻ってくるのでお願いします」
「はーい。いってらっしゃい」

「あ、お昼にと思ってチャーハン作ったのでよかったら食べてください」
「ほんと?家に帰って来てご飯があるって本当嬉しい。早速頂くね、ありがと!」

余程嬉しかったのか、かなえさんは直ぐに台所へと消えていった。見た目は小動物な感じなのに、性格はさばさばしていて本当気持ちいい人だ。でも、恋人は今いないらしい。暫く恋愛はいらないって言ってたけな…。

さて、買い物だ。
と来たのは近くのスーパー。今日は4人しか居ないし、晩御飯でも作ろうかと、食材を買いに来たのだ。

仕事をしだしてからめっきり料理はしなくなった由紀恵だが、四人兄弟の長女で下は全員が男。しかも両親は共働きだったので、中学二年くらいから自然と由紀恵が晩御飯を作るようになったのだ。

暖かく自分を迎えてくれたルームメイトの皆に少しでも恩返しをと思い、以前から考えていたのだ。しかし今日は二人の欠員が出てしまったのは残念だが…。まぁまた次があるか。

持参のマイバッグ二つをかかえ、少し上がってきたテンションで帰るのだった。
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