上司な彼とルームシェア
支部長補佐、はっきり言ってください。
今日は週の真ん中、水曜日。
いつも通りパソコンとにらめっこしている。

いや、いつも通りではないか。ちょっとイライラしてキーを打つ音が大きくなっている。

月曜日から何だか仕事がやりづらい。何故か支部長補佐関連の書類が結実を介して毎回手元にまわってくる。
目と鼻の先のデスクに支部長補佐が居るのにも関わらず。

出来上がった資料などをデスクまで持っていくと、忙しいのか顔も上げず、「そこ置いといて。ありがとう」と、本当にそう思ってんのか?と思えるくらい機械的な返事が返ってくるだけだった────



「何が気に食わないの?!」

今は昼休み。歓迎会で使った創作居酒屋で定食を結実と二人で食べている。ここは昼間は定食をやっているのだ。

私は行儀が悪いとは思ったが、定食の唐揚げに箸を突き刺した。すると結実が、「私も何だかめんどくさいですけど、あの北の鬼にはたてつけませんよぉ」と口を尖らせた。

「何だかごめんね?」

「いやいや、謝らないでください。私は椎名さんの担当だから、処理する書類の量もしれてますし、ね?」

「ありがとう。でも、私もやりにくいし、そろそろ限界だから、ちょっと今日の帰りにでも話してみるわ」

「私は大丈夫なんで、無理しないでくださいね?」

結実は本当、可愛い後輩だ。と思いながら、最後の一切れのだし巻き卵を口に放り込んだ。


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