上司な彼とルームシェア
ダブルデート
翌朝、皆が出勤して今日は家で過ごすという真波に見送られ、俊哉と二人で遊園地へと電車で向かうことになった。

「ちょっと、電車の中までこの状態ですか?」と二人の間で指を絡めて繋がれてる手を反対の手で指差す。

「いやなの?」と鋭い横目で睨まれる。

「いやー、もうこの年だし、恥ずかしいっていうか……」
「こんなおじさんとは嫌ですか。」

と、棒読みで感情の込もってない声と共にすっと手が離れた。

(うわぁ、拗ねたしー。もう小学生ですか、あなた。)という心の声は奥へしまって、

「ごめん。これで許して?」と俊哉の腕に手を回した。

何も言わずそっぽを向いている俊哉の耳がまたほんのり赤くなっていた。


遊園地に着くと、やはり家族連れが多かったが、たまに目にするカップルは皆年齢層が低い。

「やっぱり皆若いですねぇ。ちょっと浮いちゃいそう…」
「はいはいおじさんですみませんね」
「中身はすぐ拗ねる小学生みたいですけどね」

さすがにいつまでも機嫌が治らない俊哉に由紀恵は苛立ったが、

「でも好きですよ?おじさんも拗ねてる小学生も。」
「えっ!」

真っ赤に石化した俊哉が面白くてさらに追い討ちをかける。

「その真っ赤な顔も可愛いです。」

「か、かわいいとか…嬉しくないし。」
「えー、でも顔にやけてますよぉ?」

「何言っ…」と俊哉が口を開いた時に後ろから、「由紀恵先輩?」と聞きなれた声が聞こえてきた。

「あ、結実ちゃん!」

とふと結実の隣に立つ男性を見ると、

「し……支部長!!」
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