上司な彼とルームシェア
シェアメイト解消です!
「突然お邪魔してすみません。片桐 優と申します」

とその美人は深々と頭を下げた。

「ちょっと事情があって、暫くうちで居てもらうことになったから」

俊哉が続けて言う。

「ちょうど皆居るから紹介しとくな。こっちが幾太で、隣が勇気、それでこっちが由紀恵…さん」

ん?さん?と由紀恵は一瞬ポカンとしたが、女の勘とでも言おうか、何となく察しがついてムッとした。

そのあと、元かなえさんの部屋に優さんを案内し終え、部屋から出てきた俊哉にちょっといい?と腕を掴んで由紀恵の部屋に入った。

「優さん、どのくらい家にいるの?」

「…んー、落ち着くまでは…。」

「で、さっきの『さん』って何?」

「さん?」

「元カノには私の事知られたくなかった?」

「なっ、いや。わりぃ、何となく…」

煮え切らない返答に、由紀恵は自分の中ではブツッという音が聞こえた気がした。

「そう、分かった。じゃあ、おやすみ」

と俊哉の背中を押して、部屋から追い出した。

いつも自分は気が長いと思っていたのに、今日の苛立ちはどうやっても収まりそうになかった。そして、勢いに任せて携帯を手に取った。

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