上司な彼とルームシェア
思い出の箱──俊哉side──
二人の姿を見掛けたのは、まだ高校2年の初夏だった。


確か、同じクラスの幸月 雅紀と女子は隣のクラスだったか、片桐 優だ。

今、二人は人気のない学校の中庭の木陰で口づけをかわしている。


──誰が見てんのか分かんねぇのに、バカップルがっ!

と、未だに彼女ができない俺は悪態をついて足元の小石を蹴っていた。

それは二人の口づけをを遮るように音をたてて転がる。

しまった!と思った瞬間、

「あ、長谷川くん…だよね?部活?」

自分たちのしていることがさも当たり前かのように、雅紀は普通に声をかけてきた。

動揺した俺は、「あぁ」としか声を出せなかった。

「じゃあ、また明日ね」

と雅紀は優の手を引いて校門へと消えていった。


それから、雅紀とは大学も同じになってよくつるんでいた。

大学に進学しても、雅紀と優の付き合いは続いていた。

度々呼び出され、三人で飲むのも週一の恒例行事だった。


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