上司な彼とルームシェア
和解しました?
──パタン、カチャ

痛いほどに俊哉に腕を掴まれ、部屋へと押し込まれた。

由紀恵の部屋だ。

出ていった時のままだった。


「あ、あの─」

「もう、出て行く必要はないよな」

俊哉は由紀恵の言葉に被せて言ってきた。


今まで見たこともない、触れたら一瞬で凍りつきそうな表情の俊哉に

「で、でも、私は悪くないもん…」

と後退りしながら、抵抗を試みる。


「…そうか、お嬢さんは機嫌が悪いらしいな」

と俊哉は一歩、二歩と踏み出してくる。


つられて由紀恵も一歩、二歩と後退するが、二歩目に下げた足はもうベッドにぶつかり、これ以上の後退は出来ない。


退路を絶たれた由紀恵は、恐怖から『ごめんなさいっ』と言おうとした瞬間、目の前が真っ暗になった。


──会いたかった──

くぐもった俊哉の声が耳許で聞こえた。

抱き締められた由紀恵は、素直に俊哉の背中に手をまわせず、さまよわせていた。



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