常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
「小会議室A」の隣にある「小会議室B」に、大地と亜湖が入った。
亜湖は対面にした方が説明しやすいと思って、パイプ椅子を移動させようとしたら、大地が「いいから、いいから」と言って、亜湖の腕を引いて、自分の左隣に座らせた。
いつの間にか大地が、二人が座るパイプ椅子をぴったりくっつくくらい近く設置していた。大地が書くはずの書類は、なぜか亜湖の真正面にある。
その書類を大地が書くためには、亜湖を背後からすっぽり包むようにして「二人羽織」状態にならなくてはならない。
実際、亜湖は大地の腕の中にいた。
「あ、あの……上條課長」
亜湖は後ろへ振り向いた。
すると、大地が思ったよりずっと近くて、二人の頬がかすかに触れてしまった。
亜湖はあわてて顔を戻す。
「目、悪いんですか?」
俯いたままで尋ねる。
「目? ……両目とも一・〇はあると思うが」
大地が答える。しかも、亜湖の耳元で。
彼の声はよく響く低音だった。
「い、いえ……先刻から、距離が近いので。わたしのように、視力が悪いのかと」
すると、大地が亜湖の左頬を右の手のひらで包み、自分の方へ向かせた。
「おまえ、目が悪いのか?」
そう言って、亜湖の瞳をじーっと覗き込む。
今度は鼻と鼻が触れそうだ。
「小会議室A」の隣にある「小会議室B」に、大地と亜湖が入った。
亜湖は対面にした方が説明しやすいと思って、パイプ椅子を移動させようとしたら、大地が「いいから、いいから」と言って、亜湖の腕を引いて、自分の左隣に座らせた。
いつの間にか大地が、二人が座るパイプ椅子をぴったりくっつくくらい近く設置していた。大地が書くはずの書類は、なぜか亜湖の真正面にある。
その書類を大地が書くためには、亜湖を背後からすっぽり包むようにして「二人羽織」状態にならなくてはならない。
実際、亜湖は大地の腕の中にいた。
「あ、あの……上條課長」
亜湖は後ろへ振り向いた。
すると、大地が思ったよりずっと近くて、二人の頬がかすかに触れてしまった。
亜湖はあわてて顔を戻す。
「目、悪いんですか?」
俯いたままで尋ねる。
「目? ……両目とも一・〇はあると思うが」
大地が答える。しかも、亜湖の耳元で。
彼の声はよく響く低音だった。
「い、いえ……先刻から、距離が近いので。わたしのように、視力が悪いのかと」
すると、大地が亜湖の左頬を右の手のひらで包み、自分の方へ向かせた。
「おまえ、目が悪いのか?」
そう言って、亜湖の瞳をじーっと覗き込む。
今度は鼻と鼻が触れそうだ。