常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「同期と言えばさぁー」
吉川の方はそろそろ許容範囲を越えそうだ。
すでにタメ口になっている。
「あんたぁー飲み過ぎなんじゃ、ないのぉー」
中西の方も同様だ。ロレツが怪しい。
営業職で接待慣れしている彼女たちも決して酒に弱い方ではない。でも、最近は太るのを気にしてか、食べずに飲むのである。
小田が適当に頼んだ料理はあまり減っていなかった。
「なんて言ったっけ……兜町の人事にいて、すぐに丸の内の秘書室へ異動して、専務の秘書になって大阪へ転勤した子よ」
吉川はビールを卒業して飲んでいた八海山を一口飲んだ。
「ああ、いたね!」
中西もビールを卒業して飲んでいたグラスワインの赤を一口飲んだ。
「大阪支社で出会った男に熱烈にプロポーズされて結婚したんだって」
吉川は八海山の杯をごん、と座卓に置いた。
「ええーっ!やっぱ大阪ってラテン系っていうから、押しも強いんじゃん。あたしも大阪行きた〜い‼︎」
中西が座卓をバンバン叩いた。
水島が大地の顔をちらりと見た。
「中西!あんた、あたしを裏切って結婚すんじゃないわよー‼︎」
「吉川!あんたこそ、裏切るんじゃないよっ。兜町じゃもう同期の女はあんたしかいないんだからね‼︎」
すると二人は、間でおろおろする田中あづさを突き飛ばして、固く抱き合い、おいおい泣き始めた。