常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「朝比奈さん、田中さん、このあとカラオケ行かない?あ、他の三人は行くって言ってるよ」
能天気に相手側が誘ってくる。今日は五対五のメンバーだった。
「悪いけど、わたしたちはもう帰るわ」
蓉子がきっぱりと言う。
「田中さん」も、うんうんと肯く。
この後カラオケに行くのなら、また父親に報告しなければならない。冗談じゃない。
相手側は滅多にお目にかかれぬ上玉二人を逃すまいと、盛んに誘ってくるが、蓉子は気にも止めずガーデンパーティのトートバッグを持って立ちあがる。
「田中さん」もダミエ・アズールのトートバッグを抱えて弾かれたように、あわてて立つ。
あとに残る三人の会社の先輩に軽く会釈する。
向こうも「お疲れ~」と手をひらひら振っている。