常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

「赤のボールペンをくれ」

自分のデスクで、ステーショナリーネットへの注文リストを作っていた田中千帆は、その声のするカウンターの方へ顔を向けた。

そこにいたのは、営業部・営業二課の上條課長だった。

田中千帆は思わず後ろへ()け反った。

……モデル並みのイケメンで、しかも専務の息子でもある上條課長が、なんでわざわざ総務までボールペンなんか取りに来るわけ?

実は、田中千帆だけじゃなく、総務課内の全員がまるでコントのように、同じ格好で仰け反っていた。

確か営業二課は派遣の子がいたはず……今日は休みなのかな……だったら、例えば山田とか、下っ端のヤツが来るべきだろう……

と、どの顔にも書いてあった。

< 36 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop