マドンナブルー
その日の夕暮れ時、美奈子はとぼとぼと帰宅の途についていた。彼女は昼休みいっぱい保健室で休んだ後、午後の授業に参加した。いまだ両親に妊娠の事実を告げられないでいた。高校生の自分が父親のいない子供を妊娠したと知ったら、両親はどんな反応を示すだろうか・・・・・・。そのことを考えると、途方に暮れた。
彼女の足は、自宅付近の公園の前に差し掛かった。そのとき、どこからか「おい」という言葉が聞こえた。聞き覚えのある声である。周囲を見回して声の主を探すが見つからない。
「おい、ここだって」
さっきよりも響いた。その方向へ目を向けると、公園内でブランコに座っている人物に突き当たった。背景は、燃えるような夕焼け空である。そのため逆光で、その人物は真っ黒に塗られていた。しかし声とシルエットで、その人物が杜であると気づいた。
美奈子は沈んだ顔から驕慢な表情となる。杜の前ではいつも高ぶった態度をとってしまう。
「なんだ杜じゃん。こんなとこで何やってんのよ」
美奈子は公園に入り、すましたそぶりで杜に近づいていった。逆光である彼の顔色がわかるほど杜に近づいたとき、ギョッとして立ち止まった。戦慄が走ったように、体が固まった。杜の顔は、彼と判別できないほど腫れ上がっていた。
「そ、その顔どうしたの!?」
彼は質問に答えず、
「お前を待ってた」
「はあっ!?」
「お前んちこのへんだろ?家に上げろよ」
杜は美奈子の返事を待たずして、ブランコのチェーンを握りながらけだるそうに立ち上がった。血のにじんだつばをペッと吐き出すと、「行こうぜ」と言って歩き出した。美奈子は困惑し、一人で歩き進む杜の背を見ていた。片脚を痛めているようで、歩き方がぎこちない。
<また派手にけんかしたなぁ>
美奈子は他人事に思い、あきれていた。しかしその反面、そんな彼が自分に何の用かと、不審に感じた。傷だらけの彼を放っておくわけにもいかず、美奈子は小走りで杜を追い、自宅に案内した。
彼女の足は、自宅付近の公園の前に差し掛かった。そのとき、どこからか「おい」という言葉が聞こえた。聞き覚えのある声である。周囲を見回して声の主を探すが見つからない。
「おい、ここだって」
さっきよりも響いた。その方向へ目を向けると、公園内でブランコに座っている人物に突き当たった。背景は、燃えるような夕焼け空である。そのため逆光で、その人物は真っ黒に塗られていた。しかし声とシルエットで、その人物が杜であると気づいた。
美奈子は沈んだ顔から驕慢な表情となる。杜の前ではいつも高ぶった態度をとってしまう。
「なんだ杜じゃん。こんなとこで何やってんのよ」
美奈子は公園に入り、すましたそぶりで杜に近づいていった。逆光である彼の顔色がわかるほど杜に近づいたとき、ギョッとして立ち止まった。戦慄が走ったように、体が固まった。杜の顔は、彼と判別できないほど腫れ上がっていた。
「そ、その顔どうしたの!?」
彼は質問に答えず、
「お前を待ってた」
「はあっ!?」
「お前んちこのへんだろ?家に上げろよ」
杜は美奈子の返事を待たずして、ブランコのチェーンを握りながらけだるそうに立ち上がった。血のにじんだつばをペッと吐き出すと、「行こうぜ」と言って歩き出した。美奈子は困惑し、一人で歩き進む杜の背を見ていた。片脚を痛めているようで、歩き方がぎこちない。
<また派手にけんかしたなぁ>
美奈子は他人事に思い、あきれていた。しかしその反面、そんな彼が自分に何の用かと、不審に感じた。傷だらけの彼を放っておくわけにもいかず、美奈子は小走りで杜を追い、自宅に案内した。