隣人はヒモである【完】



「あ、ご飯粒」



レオさんの頬に、一粒引っ付いてた米粒に気付いて、思わず手を伸ばした。


あたしの手が彼の頰に触れ、この度二度目のボディータッチ。


一度触れたら、また無性に前髪の下の彼の目を覗きたくなったけれど、変に刺激して居座られてはたまらない。


知りたい。興味はあるけど、踏み込めない。一度ハマったら終わりだ。


きっとこの人は沼、底無しの。あの女の人みたいに、あたしはなりたいわけじゃない。


ていうか養える財力がないから普通に無理なんだけど。


取れた米粒を、人差し指に乗せて差し出し、ほら、と笑うとレオさんはふっと顔を上げて、あたしの方に手を伸ばしてきた。


なんだなんだと思っていたら、のっそりした動きで彼もあたしの唇のすぐ横に触れ、こするようにして離れていく。



「お前もな」



レオさんは馬鹿にするように、嘲るように笑ってあたしの口についてた米粒を舐めるように食べた。


食べるんかい。



「変態おじさん……」

「おじさんじゃねーよ、童顔だからな」



この人の童顔に対するこだわりが世界一よくわからんな?


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