ダ・ル・マ・3・が・コ・ロ・シ・タ(下) 【結】



僕と彩矢香の奔走は骨折り損だったのか。

数分を過ぎても、周囲に何の変化も起こらない。

意気が様変わりしたのはやはり今夜の鬼である美佐子で、僕らに恨み節さえぶつける揚々ぶり。

「さんざん脅してくれたよね~。やっぱり呪いなんかあるわけないんだよ! 3人が続けて死んだのも、た・ま・た・ま」

「「…………」」

何はともあれ、喜ぶべきこと。

もう、夜が来るたびに怯えなくていいのだから。

「そろそろだ」

美佐子は、待ちかねたように紙袋を持って外に出た。

「お、おい!」

まだ3時18分。油断も甚だしく、約束したことをもう忘れている。

彼女のバックから鏡を抜き取り、後に続く。

「ミサコ、これ!」

僕の呼びかけを横目に見ながら蓋を開けた。

「え? もう必要…」

次の瞬間!!

「キャアアアアアアア゛ァーーーッ゛!」

膝が砕けたように後ろへ倒れる美佐子。

そして、

——バチンッ。

あれほど明るかった照明が消えた。

甲高い悲鳴で、すっかり寝入ったホームレスも起き上がり、環境の変化に戸惑う。

「どうした⁈」

僕は美佐子の肩を抱き、顔を覗く。

「な゛……」

美しさとはかけ離れた表情が、至高の恐怖を表していた。

「ぁ、あ゛、あれ……」

震えている身体とは違い、固まったままの視線。

僕もその先を追うと、

「ッわ゛!!」

ドラム槽からこちらを見据える生首を見た。

驚いた拍子に、持っていた鏡が派手に床を転がる。

「兄ちゃんたちどうした⁉」

この戦慄は、見えないほうが幸せだ。



 
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