夢色メイプルシュガー


「……これが、私らしいケーキです!」


来(きた)る水曜日。

私は、勇さんの前で“あのケーキ”をつくった。


「ではいただくよ、芽衣さん」

「どうぞ」


ドキ、ドキ、ドキ、ドキ。


緊張で手が震えるけれど。

しっかりと、その反応を見守る。


「……うまい」


はぁ……っ!

耳にした瞬間、自然と笑みが零れた。

……よかった。


「お母さんとの思い出のケーキなんだって? 渚から聞いたよ。」

「はいっ。再現してみました」

「それだけじゃねーだろ、芽衣」


宗谷くんが、ニヤリと口角を上げて言った。

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