夢色メイプルシュガー


「うん。……私の大好きなメイプルシュガーを、アレンジで加えました」


メイプルケーキ。

それが、私自身の思い出の味だから。

私の、全ての原点だから。



「合格だ」


……えっ。


「「やったーー!」」


叫ぶとともに、宗谷くんと抱き合っていた。

……嬉しい。

本当に、嬉しすぎるよ。

ありがとう、宗谷くん。


「コホン」

「……わぁっ」


瞬間、私はハッとなって宗谷くんから離れた。

やだ私ったら、つい。


咳払いをした勇さんは、そのまま言葉を続ける。


「とても素晴らしかったよ、芽衣さん」

「あっ、ありがとうございます」

「それから……渚もな」

「……っ」


宗谷くんに向けられた、柔らかな笑み。

彼は、目を丸く見開いて勇さんを見ていた。

そして。


「おう」


程なくした時、少し俯きがちに答えた。

と、突然。

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