幸せの静寂
中学二年生の春。
桃色に染まっていた桜が、ほんの少し緑色に染まり始める頃。私たちは、一年に一度の大イベントである全国中学校体育大会の予選に向けて練習を重ねていた。
今日は、私たちの授業が7限までだったため、少し遅れて練習に参加した。まずは、ウォーミングアップとして体操とコート内を十週し、それを終えてから練習に入る。しかし、今から練習をしようとしたところへ私たちのクラスの担任の先生・細川先生が走りながら、体育館へ入ってきた。
「っ……は…はは早瀬っさん…いる…?」
「先生⁉どうしたんですか⁉」細川先生は男なのに、名前の通り細身で眼鏡をかけている先生だ。今は、その眼鏡もずり落ちているが…。
「ハァハァ…こういうときに……運動不足はいやに…なるね…じゃなくて❗早瀬さんいる!?」
「ここにいますけど、先生どうしたんですか?」
「あ、良かった。実はね…君のお母さんが事故に会ってしまって病院に搬送されたんだ…」
「え?」
「だから、早瀬さんも病院に来てくれないかい⁉」
「え…あ…はい!わかりました。あの、キャプテンすみません…」
「いやいや、こっちは大丈夫だよ!それよりも早く行かないとっ」
「はい❗」真澄は慌てて荷物を抱え、細川先生と走っていった。
私は真澄のことがただただ心配だった。
これは、私の推測にしかすぎないが…。真澄は優しくて誰とだって仲良くなる。例えそれが自意識過剰であまりみんなに良く思われていない人でも、引っ込み思案でずっと下を向いてる人でも、だ。でも、それは自分を殺してることと一緒なのではないだろうか。自分をころして、周りに合わせる。真澄も人間なのだから、苦手な人はいるはずだ。だが、そういう人にも無理矢理に自分を合わせる。でも、無理矢理に自分を合わせなくていい人がいるなら?それは、母親だ。父親もきっと大切な存在だろう。でも母親は、自分を生んでくれた人、ずっと見守ってくれた人、愛情をたくさん注いでくれた人、特別な存在。その母親がいなくなってしまえば、真澄はどうなるだろう?引きこもる?泣く?最悪、自殺をする?いや、そのどれでもない。きっと、真澄はまた周りに自分を合わすだろう。皆に心配をかけまいと、弱い自分を見せまいと。その時、私なら真澄にどうしてあげることができる?
桃色に染まっていた桜が、ほんの少し緑色に染まり始める頃。私たちは、一年に一度の大イベントである全国中学校体育大会の予選に向けて練習を重ねていた。
今日は、私たちの授業が7限までだったため、少し遅れて練習に参加した。まずは、ウォーミングアップとして体操とコート内を十週し、それを終えてから練習に入る。しかし、今から練習をしようとしたところへ私たちのクラスの担任の先生・細川先生が走りながら、体育館へ入ってきた。
「っ……は…はは早瀬っさん…いる…?」
「先生⁉どうしたんですか⁉」細川先生は男なのに、名前の通り細身で眼鏡をかけている先生だ。今は、その眼鏡もずり落ちているが…。
「ハァハァ…こういうときに……運動不足はいやに…なるね…じゃなくて❗早瀬さんいる!?」
「ここにいますけど、先生どうしたんですか?」
「あ、良かった。実はね…君のお母さんが事故に会ってしまって病院に搬送されたんだ…」
「え?」
「だから、早瀬さんも病院に来てくれないかい⁉」
「え…あ…はい!わかりました。あの、キャプテンすみません…」
「いやいや、こっちは大丈夫だよ!それよりも早く行かないとっ」
「はい❗」真澄は慌てて荷物を抱え、細川先生と走っていった。
私は真澄のことがただただ心配だった。
これは、私の推測にしかすぎないが…。真澄は優しくて誰とだって仲良くなる。例えそれが自意識過剰であまりみんなに良く思われていない人でも、引っ込み思案でずっと下を向いてる人でも、だ。でも、それは自分を殺してることと一緒なのではないだろうか。自分をころして、周りに合わせる。真澄も人間なのだから、苦手な人はいるはずだ。だが、そういう人にも無理矢理に自分を合わせる。でも、無理矢理に自分を合わせなくていい人がいるなら?それは、母親だ。父親もきっと大切な存在だろう。でも母親は、自分を生んでくれた人、ずっと見守ってくれた人、愛情をたくさん注いでくれた人、特別な存在。その母親がいなくなってしまえば、真澄はどうなるだろう?引きこもる?泣く?最悪、自殺をする?いや、そのどれでもない。きっと、真澄はまた周りに自分を合わすだろう。皆に心配をかけまいと、弱い自分を見せまいと。その時、私なら真澄にどうしてあげることができる?