【完】せんぱい、いただきます。
「い、いただきます!」



私は冷ますのも忘れて、

グラタンを口に運ぶ。



「あ、あっふ!!!」



あまりの熱さに私は口をハフハフさせ、

涙目になる。



「何やってるの!?」



急いでいつもの白い桜の花びらが舞うグラスに

冷たい紅茶を注ぎ、桜をピンクに変えてから

先輩が私に飲み物を渡す。



私はお礼も忘れ、とりあえず口の中を冷やした。



「あ、ありがとうございます」


おちついてから言う。


「何、焦ってたの?」


先輩は苦笑いで聞く。



「それは、先輩が…」





そこまで言って言葉を止める。



心臓がバクバクしている。




…別に好きとか言われたわけじゃなし。





先輩の発言に深い意味とかはないし。





何を私は動揺しているのだろう。





先輩は、再び恋愛バラエティをみている。





私はその横顔を見ながら、思わずため息が漏れた。





たぶん、それは先輩だから。





私、先輩のこと…。








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