【完】せんぱい、いただきます。

彼はメンズファッションの店に手を引いていった。


そして、アウターや帽子を合わせて、私に感想を求めた。


いくつかの店を回り、いくつもの服を胸の前で合わせた彼は

私に「どれを合わせても似合うしか言わない」と笑った。




彼には本当にそれらが似合っていた。




彼は背が高く、細身なのだ。



また、顔だちも気が付かなかったが、

くっきり二重で、

すっと通った鼻立ちや

品の良い唇がバランスよく配置されている

整った顔をしているのだ。





「加藤君は、何を合わせても似合うから」





私は正直な感想を言った。


なんか、照れるから。


彼はそう言ってはにかみ、


「俺のこと、樹って呼んでよ。」


と付け加えた。



「ほんとうのことだよ。樹くん、モテるでしょ」


私は、そう返す。


「全然。モテないから。」


彼はさも当たり前のようにいう。


「ていうか。

モテてたら彼女いるし。

彼女いたら、女の子と二人であったりしないからね、俺」




冗談のように、でも目は真剣に彼は言った。



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