【完】せんぱい、いただきます。

こんなことをぼんやりと考えていると、玄関のチャイムが鳴る。



私がドアを開けると、先輩が立っていた。




「えー、スーツじゃないんですかぁ?」



私の第一声に、何とも言えない表情の先輩。


「着替えてきたし。スーツ、疲れるんだからね」


「スーツ姿の先輩、絶対かっこいいから見たかったのに。」


「じゃあ、今度着るから」


「今日がいい。だって大学生の先輩を見れるの、今日が最後だもん」


「今、来たのにまた帰るの?」


「それもそうですね。じゃあ、今日は諦めます」




私は引き下がる。

だってせっかく会えたのに。


少しでも一緒に居たい。




「昼ごはん、どうする?」


「昨日の夜ごはんの残りのカレーならあります。」



私の返事に少しの間、考えるようなしぐさ。



それから靴を脱ぎ、小さく「おじゃまします」と言った。

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