溺甘副社長にひとり占めされてます。
「いいよ。気にしないで座って座って」
「……そんな訳にはいきません」
副社長である彼が立っているというのに、平社員の自分が座り続けるなんてことは出来ない。
ゆるりと首を横に振ると、白濱副社長は困った顔をした後、ニコリと笑った。
「じゃあ。こうしよう!」
言うなり、彼は私の手を掴んだ。そしてそのままその場に腰を下ろす。
「副社長! あの。階段にじかに座るのは」
「いいからいいから。美麗ちゃんも座って」
掴んだ私の手を、軽い力で彼が引く。そしてにっこりと笑みを浮かべて私を見上げてくる。
「ね?」
瞬間、変な緊張感が私の身体の中を駆け巡っていった。掴まれた手が、おまけに頬までも、熱くなっていく。
「……わ、分かりました。副社長がそれでいいなら」
素直に頷き返し、私もさっきと同じ場所へと腰を下ろした。
触れていた手が離れホッとしたのも束の間、座ったことで白濱副社長との距離が近くなったことに、また落ち着かなくなっていく。
視線を行ったり来たりさせていると、トンッと、自分の肩に彼の腕がぶつかった。
「こんなところで、お昼を食べながら、何を考えてたの?」
突然の質問にうろたえてしまう。彼が来る直前、ちょうど白濱副社長本人のことを考えていたからだ。