嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
封印した恋心
「では、請求書を送らせていただきます。はい、失礼します」

通話を終え、静かに受話器を置いた。
机の端に置いていた請求書を手に取り、宛名を書き終えた封筒に入れて封をする。
それを発送用のトレーに置いて、小さく息を吐いた。

私、桜井麻里奈(さくらいまりな)は『ニッカエクステリア』に勤めて二年になる。

建物の外構やエクステリアの設計・施工を中心に、園芸資材の販売まで幅広く手がけている会社だ。
三階建ての少し古い自社ビルの一階と二階は事務所フロアで、三階には役員室や応接室がある。
総務は営業と同じ一階のフロアに机を並べている。
オフィスは壁で仕切られているわけではなく、島ごとに部署が分かれている開放的な造りだ。
二階には設計や施工管理の部署が入っている。

会社の敷地内には、倉庫が並び、主に園芸関連の資材置き場になっていた。

社員は男性が多く、女性社員はそれほど多くない。
女子社員はみんな私より年上だけど、気さくで親切な人ばかりだ。
休憩時間は世間話や夕食の献立の話で盛り上がり、和気あいあいとしている。
社内で最年少の私は、男女問わずみんなに可愛がってもらっていた。

入社してまだ二年目なので、給料はそんなに高くはないけど不満はない。
安定した会社で、職場の雰囲気もよくて恵まれている環境だと思う。

そんなことを考えていると、大量の資料を抱えた男性が隣の席に戻ってきた。

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